意外と知られていない「慣らし運転」

バイクを購入したら最初にやること、それは「慣らし運転」です。
昨今のバイクは設計段階から完成された構造で、新車購入直後から性能を引き出せるバイクも増えて来てきました。
また、エンジン性能の向上とバイクの血液とも言えるエンジンオイルの性能向上によって、オイル交換周期も伸びてきています。
そんな中、「慣らし運転」は軽視されるようになっており、ちゃんとした「慣らし」をしない車両も多くなってきている現状があります。
そこで、今回は「慣らし運転」の重要性について解説していきたいと思います。

慣らし運転ってどんな運転？

バイクに限らず、車などの機械動力源全体に言えることなのですが、エンジンやミッションなどの機械部品は精巧な精度で製作され、検品などを済ませて出荷されますが、実際に稼働させると熱や部品干渉などによって、エンジン内部の摩耗や故障の原因になる鉄粉などが多く発生することがあります。
そのため、最初の段階でエンジンの性能を引き出さずに部品同士を慣らしていく必要があり、そのことを「慣らし運転」と言います。
実際には走行距離100km、300km、500km、1000kmごとにオイル交換を行い、部品同士が摩耗してできた鉄粉の除去と、エンジン内部のオイル潤滑を促進させ、様子を見ながらエンジン、ミッションのバランスをとって「当たり」を作ります。
こうすることによって、故障リスクを大幅に低減し、高寿命のエンジンを作り上げることが可能になります。
逆に言ってしまうと「慣らし運転」をしないバイクは故障のリスクを高め、新車から短命のバイクを作ることになってしまうのです。

慣らし運転のやり方

新車購入の場合は、ショップスタッフが走行距離100〜500kmの間で慣らし運転を完了してくれることがありますが、それ以降は個人での慣らし運転が必要になります。

・一つの目安として走行距離3000km
様々な方法がありますが、慣らし運転の終了目安は走行距離3000kmです。

・走行距離1000kmまでは高速道路を利用しない
1000kmまではエンジン内部に鉄粉が発生しやすいため、適度なオイル交換とエンジン回転数の制限が必要です。
具体的には4000回転以下で全てのギアをしっかり使うことと、急激な加速でエンジン負荷を与えないことが重要です。

・走行距離1000〜3000kmでは全域でバランスよく使う
様子を見ながらエンジン回転数を上げていき、時速100km程度までバランスよく全てのギアを使って慣らしていきます。
この時に問題がなければ、徐々に負荷をかけて走行しましょう。

最初が肝心、愛車を長く使う秘訣

バイクの慣らし運転をしっかり行っているだけで、ほとんどの故障リスクを防げます。
「オイル漏れ」「オイル滲み」「ミッション不具合」などは、最初の慣らし運転を行っていないことが原因であることがとても多いのです。
たかが「慣らし運転」と思わず、最初にできることはしっかり行いましょう。