新しいタイヤに交換したらやっておきたい皮むき


タイヤの皮むきの「皮」の正体とは?

新しくタイヤ交換をしたときなど、「タイヤの皮むき」という言葉を耳にする機会があります。
この「皮」とは、新品タイヤの表面に塗られている薬品の膜のことを指しており、「皮むき」とはその膜を取ることを意味する言葉です。

タイヤが製造されてお店に並び、ライダーが購入して実際に道路で走るまでには時間がかかります。
その間、タイヤのゴムがむき出しになっていると、中から油分が浮き出たり埃を吸って変色するなど、ゴム素材の劣化が進みます。
まだ売れる前からタイヤが劣化してしまっては、安全性に問題が出たり、見た目にも悪くなり売り物としての価値が下がってしまいます。

そこでタイヤが劣化するのを防ぎ、品質を保つ目的で存在するのが「皮」なのです。
タイヤの素材であるゴムには、老化防止剤という薬剤が含まれているのですが、その成分を外に出してあげる行為をタイヤの皮むきと呼びます。

タイヤの皮むきの方法

タイヤの皮むきは一般的に「慣らし走行」とも呼ばれており、タイヤの皮を取るためと、タイヤとホイールの接触面を馴染ませる目的も含まれています。
走行距離の目安としては、100kmほど走れば十分と言われていますが、実は皮むきだけなら距離はそれほど必要としません。
100km前後というのは慣らし走行としての目安であり、急発進・急加速、雑な操作はせずに、安定走行を心がけていればOKです。

ただし「慣らす」必要がありますので、直線だけではなくバイクを気持ち寝かすことも大切です。
慣らし走行で表面の8割くらい慣れたと感じたら問題ないでしょう。

なお、プロがタイヤの皮むきをする前に行っている行為があります。
パーツクリーナーをウエスに吹きかけ、タイヤの表面を軽くさらっと拭くというものです。
これは表面に付着している余計な油やタイヤワックスを取るために行うもので、一度拭いておけば滑りやすい成分を除去することができます。
注意点としては、ゴム素材はパーツクリーナーを吸いやすいため、クリーナーをタイヤに直接吹きかけないことです。

アマリングは気にしなくてよい

タイヤの端側が皮むきできていない状態を「アマリング」と言いますが、ライダーの中にはアマリングを良しとしない人も少なくありません。
ですがタイヤの専門家によると、公道の走行でタイヤの端まで使うためにはかなり深くまで倒し込む必要があるため、逆に危険行為になる恐れがあるとのことです。
あくまで慣らし走行なので、皮むきに必死になる必要はなく、アマリングに関しても気にすることはありません。
どうしてもアマリングを取りたい場合は、公道ではなくサーキットなど安全な場所で行うようにしましょう。