ヤマハがバイクに着せる服を制作


ファッションデザイナーとのコラボ

バイクをカッコ良く見せる方法として、カスタムして色を変えたり形を変えたりする方法を思い浮かべる人がほとんどでしょう。
ですがヤマハはファッションデザイナーとのコラボで、「マン・マシンが共有する服 Over」を発表し、新しい価値観を提案しています。

これは、ファッションデザイナーの志鎌英明氏とのコラボ企画によるもので、「人機官能」というヤマハが掲げる開発思想からインスパイアされて誕生したとされています。
人機官能とは、人とマシンが一体化することで、人々に対してワクワク感や喜びを与えるという思考を意味しています。

「Over」の大きな特徴は、ライダーとバイクが同じデザインの服装をまとっていることです。
つまり、マン(人)とマシン、2つの要素が交わり1つの作品を形成することで、人機官能を表現したと言えます。

タイヤまで服を着ている斬新な発想

この作品にはヤマハの人気モデル「SR400」が使われており、なんとタイヤも服を着ています。
コラボ作品ということで、バイクとしての機能は度外視ということでしょう。
迷彩服を思わせるミリタリーカラーが基調となったデザインで、ベルトやポケットなども多用されているのが特徴的です。

人が着ている服装は、異国の民族衣装のようでもあり、どこかスタイリッシュでもあります。
ポーチやシューズもお洒落な色使いで、ライダーでなくてもミリタリーファンや一般の人まで誰もが魅了されそうなお洒落なデザインです。

なお、この作品のバイクはエンジンを除いたほとんどのパーツに服が着せられており、タイヤからマフラーまで見事に覆われています。
ライダーには考えも及ばない、ファッションデザイナーだからこそできる斬新な発想とデザインと言えます。

ファッション作品としてのバイク

ありそうでなかった新しい発想の作品ですが、バイクのカスタムとしても取り入れられそうなお洒落な発想がたくさん詰まっています。
ですが現実的に考えると、このバイクで走ることは不可能です。
バイクの世界に身を置く人ではできなかった作品であり、そもそもファッション作品としてのバイクなので、走ること自体想定されていないのでしょう。
「走れないならバイクの意味がない」という観点ではなく、バイクをファッションのファクターとして取り入れる発想が面白いと考えてみてください。

バイク技術もどんどん発展していますので、この作品を機にいろいろな影響があるかもしれません。
もちろん100%理解することは不可能ですし、デザイナーも求めていないはずです。
こうした新しい発想が、今後のバイクライフにどう影響するのか、楽しさを感じることができれば、それこそ「人機官能」ではないでしょうか。